香港からの風と共に~K&L 徒然コラム~

第2回 CEOからのご挨拶と自己紹介(2)

みなさん、こんにちは! K&L Partnersの林(リン)です。第2回のコラムでは、(1)ビジネスコンサルティングの内容(後編)を紹介したいと思います。

2012年の3月某日、日本を出発し降り立ったここ香港の地は、すでに雨季(日本の梅雨の先駆け)がはじまっており異様な湿気と高温に苛まれながら、筆者にとっては生まれて初めての銀行員としての生活がスタートしました。縁あって三井住友銀行の香港支店に転職した筆者は、当時の銀行の法人営業部門 を統括する部署が、主に日系企業の顧客に対するアドバイザリー業務(伝統的な銀行の融資や決済業務の提供ではなく、コンサルティングを通して顧客に付加価値をもたらすという新しい試み)を立ち上げるミッションを拝命。当時は折しも中国の人民元の国際化の端緒であり、香港が「オフショア人民元」(中国本土で流通しているのとは別の、外国で流通している人民元のこと)の中心地として、“外から中へ”(国外から中国本土へ)どのようにして人民元を調達するかというのがとてもホットな話題として香港では賑わっていました。日本の銀行も遅ればせながらもここ香港で調達した人民元(オフショア:外地)を、どのような方法でオンショアである中国本土へ投入することができるのかというスキームの構築を求められました。というのも、中国ではまだまだ外貨管理の規制が厳しく、日本や他の欧米先進諸国のように自由に外貨を人民元に両替したりすることには厳しい制限が課せられているからです。こうした中、中国本土に事業を展開している多くの日系企業に向け、対中国国内への資金調達の提案を数多くこなしていくことになりました。こうして香港での銀行員としてコンサルティング業務に従事していくにつれ、今度は資金の流れでは逆のことが日系企業のニーズとして起こり始めます。それは、中国本土で稼いだ利益(主に人民元)を、どのようにして日本の本社へ戻すのか、

または他の国への再投資に回せるのか、という資金還流についての相談でした。前述の通り中国では外貨管理規制が厳しく、国内の人民元を外国へ送金するにも諸々の規制があるのと同時に、人民元の対外流出には厳しい態度で臨む中国国家の姿勢も重なり、中国内の人民元は簡単に対外送金することができません。こうした日系企業のニーズに応えるべく、様々なスキームを考案・構築していくのと同時に、中国の現地法人の整理(リストラ)に関する相談も増えてきたのです。現地法人を清算したり他の会社と合併させたりといった組織再編についても、中国では独特の規制があるため、日本のようにはなかなかうまくいかない事が多いのです。下手をすると、工場の人員が激しい抵抗を示してストライキを起こしたり、日本人幹部を工場内に軟禁したりといったケースも実際にはありました。そういった過度な刺激を伴わず、できるだけスムーズに中国で組織再編を行いたいという日系企業のニーズが増えるにつれ、中国にあるコンサルティング会社と協働で数多くの組織再編のスキームの構築のお手伝いをしてきました。

筆者のこのような経験を踏まえ、K&L Partnersでは日系企業、特に中小/オーナー系企業の経営者の皆さまに、前回のコラムでご紹介したコンサルティングサービスをご提供して参りたいと考えるに及んだ次第です。